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Q:緊張型頭痛とは何ですか?
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緊張型頭痛は、ストレスや長時間の同じ姿勢などが原因で首や肩の筋肉が継続的に緊張することで生じる、最も一般的な一次性頭痛です。片頭痛のような脈に合わせたズキズキとした痛みではなく、頭全体がヘルメットで締め付けられるような鈍い圧迫感が特徴です。痛みの強さは軽度から中程度であることが多く、日常動作で悪化することはあまりありません。
多くの患者さんで肩こりや首こりを伴い、後頭部から首筋にかけて筋肉のこわばりや重だるさを感じることがあります。慢性的な肩こりがある場合、その緊張が周囲の筋肉に波及し、僧帽筋から首や後頭部の筋肉までこわばることで、後頭部、側頭部、こめかみ、目の周りに痛みを感じることもあります。つまり、肩や首のこりは緊張型頭痛の大きな要因であり、頭痛がひどい時には肩こりも悪化するという相互関係が見られます。
日本では「肩こり頭痛」や「筋収縮性頭痛」とも呼ばれ、肩や首のこりとの深い関連があります。
Q:緊張型頭痛はどんな症状がありますか?
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緊張型頭痛の症状は、頭全体、または後頭部から首にかけて重い、締め付けられるような鈍い痛みが持続的に続くことが特徴です。痛みは両側性に現れることが多く、吐き気や嘔吐はあっても軽度で実際に吐くことは稀です。
片頭痛ほど光や音に過敏になることはありません。多くの場合、痛みは「我慢できる程度」で、仕事や家事を続けられますが、集中力の低下や倦怠感につながることがあります。頭痛とともに首筋や肩の強いこりや張り感が現れ、軽度のめまいや体がフワフワする感覚を伴うこともあります。これは筋肉の緊張による血行不良が脳への血流低下を引き起こすためと考えられています。
頭痛の発症メカニズムには、姿勢の悪さ、筋肉疲労、冷えといった末梢の筋肉要因だけでなく、ストレスによる無意識の筋緊張といった精神的要因が重なることで、首や肩の筋肉が凝り固まり、血行不良や筋疲労物質の蓄積、神経刺激へとつながり、頭痛が引き起こされます。
痛みが長引くと、脳の痛みを「感じやすさ」も変化し、慢性頭痛へと移行していきます。これは、長期的なストレスにより痛みを調節する脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスが乱れ、わずかな刺激でも強い痛みとして感じてしまう「痛みの悪循環」に陥りやすくなるためです。
Q:緊張型頭痛の原因は何ですか。精神的な問題もありますか。
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緊張型頭痛は精神的ストレスと非常に深い関係があります。仕事や勉強でストレスが溜まる時に頭痛がでたり、逆に忙しい状況から解放された途端に頭痛が出ることもあります。このように心の緊張が身体の緊張を生み、頭痛につながるため、「またストレスで頭が痛い」と感じる人も多いでしょう。
しかし、緊張型頭痛はれっきとした身体の病気であり、「ストレスのせい=気のせい」「精神的な弱さが原因」などと片付けられるものではありません。検査をしても脳や血管に明らかな異常が見つからないため、周囲に理解されにくいこともありますが、実際には筋肉や神経の変化によって起こる生物学的な痛みであり、精神的要因はあくまで引き金です。
一方で、緊張型頭痛を持つ方はうつ病や不安障害を併発しやすいことも知られています。慢性的な痛みや体調不良は大きなストレスとなり、「頭痛のせいで精神的に参ってしまった」というケースも少なくありません。
特に慢性緊張型頭痛では、痛みと抑うつ気分が相互に悪影響を及ぼす悪循環に陥りやすいため、長引いている場合はメンタル面のケアも重要です。ストレスが関連する身体症状を専門的に扱う心療内科でのカウンセリングや、必要に応じて抗不安薬・抗うつ薬を用いた治療も、心身両面からの改善に役立ちます。緊張型頭痛は「心の病」そのものではありませんが、「心」と「体」のつながりが深い痛みであるため、ストレスマネジメントや必要な専門医療によって心身の負担を軽くしていくことが大切です。
Q:緊張型頭痛に効く食べ物や飲み物はありますか?コーヒーは効果がありますか?
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緊張型頭痛の発生予防のために摂取するとよいものや、摂取を控えたほうがいいものを以下にまとめてみます。
コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用があるため、一時的に頭痛が和らぐことがあります。市販の鎮痛薬にカフェインが配合されているのもそのためです。しかし、これはあくまで一時的な効果です。日常的にカフェインを摂りすぎると、逆にカフェインが切れたときに「カフェイン離脱頭痛」という新たな頭痛を引き起こす可能性があります。コーヒーは1日に1〜2杯程度を目安にし、頼りすぎないようにしましょう。
■積極的に摂りたい栄養素
- マグネシウム:
筋肉の緊張を和らげ、神経の興奮を鎮める働きがあります。ナッツ類、海藻類、ほうれん草などの緑黄色野菜、大豆製品に多く含まれます。 - ビタミンB群:
特にビタミンB2は、エネルギー代謝を助け、神経機能を正常に保つ働きがあります。豚肉、レバー、うなぎ、卵などに豊富です。 - 水分補給:
水分不足は血行不良を招き、頭痛の引き金になります。のどが渇く前に、こまめに水を飲む習慣をつけましょう。
Q:緊張型頭痛の自己診断・セルフチェック方法はありますか?
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これらのうち3つ以上当てはまる方は、緊張型頭痛の可能性が高いと考えられます。
- 頭の両側、もしくは後頭部に締めつけられるような痛みがある
- 肩こり・首こりと連動するように頭が重くなる
- 痛みは鈍く持続的で、数時間〜数日続くことがある
- 痛みはあるが、吐き気や視覚異常はない(※片頭痛とは異なる)
- 仕事やストレス、長時間のデスクワークで悪化する傾向がある
- 鎮痛薬を飲んでも一時的にしか楽にならない
- MRIやCT検査で異常は見つかっていない
しかし、上記はあくまでも目安です。ご自身のみで判断せず、頭痛があればまずは専門の医療機関の受診を検討してください。
Q:緊張型頭痛に漢方薬は効きますか?
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はい、緊張型頭痛の治療において、漢方薬が有効な場合があります。一般的な鎮痛薬や頭痛薬が主に痛みを直接抑える役割を持つのに対して、漢方薬は体質そのものを改善し、頭痛が起こりにくい状態を目指すことを得意とします。特に、冷えや血行不良、ストレスなどが関わる緊張型頭痛と漢方は相性が良いとされています。
■よく使われる漢方薬の例
- 葛根湯(かっこんとう):
風邪のひきはじめで有名な漢方ですが、首筋や肩のこりが強く、ゾクゾクするような寒気を伴う頭痛に適しています。 - 釣藤散(ちょうとうさん):
中年以降の方で、朝方に頭痛が起こりやすく、高血圧傾向やめまい、耳鳴りを伴う場合に用いられます。 - 呉茱萸湯(ごしゅゆとう):
手足が冷えやすく、吐き気や嘔吐を伴うような、片頭痛にも似た強い頭痛発作に使われることがあります。
これらの漢方薬は、市販もされていますが、漢方の専門家に相談することをおすすめします。個人による体質や頭痛の異なる症状にあった最適な処方で漢方の効果を最大限に発揮できるからです。
Q:緊張型頭痛で避けるべき飲み物や食べ物はありますか?
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アルコールは血管を拡張させ、特に飲み過ぎは頭痛を悪化させることがしばしばあります。頭痛が起きそうな時期は摂取を避けるほうが望ましいです。
また、チョコレートやチーズ、加工食品に多く含まれる添加物(チラミンなど)は、片頭痛の誘因となることが知られています。緊張型頭痛では誘因となることは少ないですが、頭痛持ちの方は念のため注意しておくと良いでしょう。
Q:緊張型頭痛でロキソニンを飲んでも効かないのですが、どうすればいいですか?
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市販の鎮痛薬の代表であるロキソニン(ロキソプロフェン)が効かないと、どう対処してよいか分からず不安になりますよね。ロキソニンが効かない場合、いくつかの理由が考えられます。
■ ロキソニンが効かない理由
- ①痛みが強すぎる・慢性化している
長期間続く重度の緊張型頭痛では、脳が痛みに過敏な状態(中枢感作)になっていることがあります。この状態では、末梢の炎症を抑えるロキソニンのような鎮痛薬だけでは、痛みを十分にコントロールできないことがあります。 - ②薬を飲むタイミングが遅い
鎮痛薬は、痛みが本格的に強くなる前に服用するのが最も効果的です。「まだ我慢できる」と痛みをこらえてから飲むと、効果が出にくくなります。 - ③薬物乱用頭痛の可能性
最も注意が必要なのがこのケースです。ロキソニンなどの鎮痛薬を月に10日以上飲み続けていると、かえって薬が頭痛の原因となる「薬物乱用頭痛」を引き起こしている可能性があります。この場合、薬を飲んでも効かないか、効いてもすぐに痛みがぶり返すようになります。
■ どうすればよいか?
まず、鎮痛薬を月に10日以上服用している場合は、自己判断で薬を増やさず、速やかに頭痛専門の医療機関を受診してください。薬物乱用頭痛の治療には、専門医による適切な診断と指導が不可欠です。
Q:緊張型頭痛に効果的なストレッチや体操はありますか
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■ 僧帽筋ストレッチ1


そうすると、首の後ろから背中の筋肉が伸びて張ってきます。
その状態で、15秒伸ばします。
■ 僧帽筋ストレッチ1


そうすると、首から肩の筋肉が伸びて張ってきます。
その状態で、15秒伸ばします。
■ 肩を回す体操



腕だけでなく肩甲骨が動いていることを意識して行いましょう。
Q:緊張型頭痛に効くマッサージやツボ押し、はありますか?
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■ ツボ押し:風池(ふうち)

首の後ろ髪の生え際で、耳と首の骨の中間にあるくぼんだ部分です。
ツボの押し方は「痛気持ちいい」くらいの強さで押します。指の腹を当ててじわ~っと押していきます。5~10秒押し、3~5セット繰り返します。強く押すと、刺激が強くなり痛みが増強したり、急激な血圧の変動を起こすことがあるため注意が必要です。
■ 頭のマッサージ1

薬指と小指の第2関節を耳の上に当てます。

上下に細かく手を動かしてマッサージします。
1段階につき、10秒くらいの長さを目安に行います。
■ 頭のマッサージ2


皮膚を動かすようなイメージで行います。
その後、両手をこめかみのくぼみあたりに当て、
ぐるぐると10回マッサージします。
■ 頭のマッサージ3

小指の第3関節を後頭部の耳の下、頭蓋骨の下の端あたりに当てます。

こちらも皮膚を動かすようなイメージで行います。
1段階につき10秒くらいの長さを目安に行います。
Q:緊張型頭痛は温めるのと冷やすの、どちらが良いですか?
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一般的に温める方が適しています。緊張で血流が悪くなっている筋肉を温めると血行が改善し、筋肉のこわばりが和らぎ痛みが軽減します。蒸しタオルやホットパックを首や肩にあてたり、入浴でしっかり温まるのがおすすめです。
逆に冷やすと筋肉がさらに硬くなり、痛みが悪化する恐れがあります。ただし、運動後など炎症が疑われる場合は冷やすこともありますが、基本は温めて様子を見るようにしましょう。
Q:マッサージや鍼灸は緊張型頭痛に効果がありますか?
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適度なマッサージや鍼灸は、一時的な症状緩和に役立つことがあります。
緊張型頭痛は、首や肩、後頭部まわりの筋肉の緊張が関与していることが多く、マッサージによって血行が改善すると「頭が軽くなった」「楽になった」と感じる方も少なくありません。
しかし、マッサージや鍼灸はあくまで対症療法であり、根本的な改善につながりにくい点には注意が必要です。強すぎるマッサージは、揉み返しによって筋肉や神経を刺激し、かえって頭痛が悪化することもあります。
また、慢性的な緊張型頭痛の背景に、首や肩の炎症に伴う異常な血管「モヤモヤ血管」が関与している場合、マッサージによって血流が増えることで、逆に痛みが強くなるケースもあります。
鍼やお灸は、東洋医学の考え方に基づきツボ刺激や血流改善、自律神経の調整を目的とした治療法で、体質や症状との相性が良ければ一定の効果が期待できることもあります。
ただし、
・施術を受けてもすぐに症状がぶり返す
・頭痛が慢性化している
・肩こり・首こりとともに頭全体が重く締めつけられる
といった場合には、原因そのものに対する治療を検討することが大切です。緊張型頭痛でお悩みの方は、専門医療機関で根本的な治療について相談することをおすすめします。
Q:緊張型頭痛の治療法はありますか?
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これまで、緊張型頭痛を根本から治す特効薬は存在しませんでした。薬物治療の多くは一時的に痛みを和らげる対症療法であり、「これを飲めば完全に治る」という薬はないのが実情でした。
ところが、最近になって後で述べさせていただくように、新しい根本的な治療ができて普及し始めています。
ここでは以下に、頭痛発生時の対症療法、予防薬、根本的な治療について記載します。
①頭痛発生時の対症療法
緊張型頭痛が強く出ている時期には、痛みを和らげるお薬が有効とされています。代表的なのはアセトアミノフェンやロキソニンなどの鎮痛薬で、市販薬ではバファリンなどもこの仲間です。どのお薬が合うかは人によって少しずつ違うため、症状に合わせて使い分けることが大切です。
②頭痛発生予防薬(慢性期の治療)
頭痛が頻繁に起こる方や、「慢性緊張型頭痛」と診断された方では、痛みが出た時に飲む薬だけでなく、毎日服用して頭痛を起こりにくくする予防薬を使うことがあります。
緊張型頭痛の予防に効果があるとされているのは、抗うつ薬(抗うつ剤)です。特に「アミトリプチリン」というお薬は、うつ病があってもなくても痛みを感じやすくなっている神経の反応を整える目的で使われます。続けて飲むことで、頭痛の回数や強さを少しずつ減らす効果が期待できます。
慢性の頭痛では、脳が痛みに敏感になっていることが多く、アミトリプチリンはその「過敏な状態」を落ち着かせる役割を持ちます。また、日本頭痛学会でも、こうした予防薬の服用に加えて、ストレスをためない工夫(ストレスマネジメント)やリラクゼーション、理学療法などの併用を勧めています。アミトリプチリンのほかに、少量の抗不安薬や筋肉のこわばりを和らげる薬が使われることもありますが、副作用の有無や体質を見ながら、専門医の判断のもとで慎重に始めることが大切です。
③根本的な治療
緊張型頭痛に対する根本的な治療として現在注目されつつあるのが、「STA動注」です。
この治療法は、時間にして片側あたりわずか2-5分ほどでできる治療で、頭皮の筋膜に存在する異常に拡張した血管と、その近くにある神経を標的とした治療です。非常に細い針を使った注射治療で、何度も受けるものではなく2-3回の治療で数年以上の効果が発揮できるものです。
詳しく知りたい方はこちらの治療実例も参考にしてください。
Q:緊張型頭痛では何科を受診すべきですか?
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まずは、かかりつけの内科や脳神経内科、または脳神経外科を受診することをおすすめします。診断が難しい場合や、他の病気が隠れている可能性を排除するためには、頭痛専門医がいる頭痛外来の受診も検討するといいでしょう。特に、長期間症状が続いている場合や、一般的な治療で改善が見られない場合は、痛みの専門医へ相談することが推奨されます。
脳神経内科では頭痛の専門的な診断や薬物治療が行われます。整形外科では、肩や首の筋肉の問題に特化した治療や理学療法が提供されます。心療内科は、ストレスやメンタル面が頭痛に強く影響している場合に有効なサポートをしてくれます。
Q:緊張型頭痛の改善方法や日常生活で気をつけることなどありますか
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姿勢の改善とこまめな休憩、そしてリラックスできる環境が重要です。
デスクワークの方は、パソコン画面の高さや椅子の位置を調整し、猫背にならないよう背筋を伸ばして頭の重心が身体の真上にくる姿勢を意識しましょう。頭が前に突き出た姿勢(ストレートネック)は首の筋肉に大きな負担となるため、作業中にふと胸をはったり、アゴを引く姿勢を心がけるだけでも違います。
また、長時間の作業は1時間おきに休憩を取り、席を立って軽く体を動かすようにしましょう。目の疲れも首や肩のこりに直結するため、PCやスマートフォンを長時間見る際には目をつぶったり、遠くを見るなど目を休める習慣も取り入れてください。
心理的な緊張をほぐすリラクゼーション法も効果的です。深呼吸や瞑想、ヨガ、軽い体操など、自律神経を整える活動を日常に取り入れてみましょう。特に入浴後や就寝前の落ち着いた時間にストレッチや腹式呼吸を行うと、副交感神経が優位になって筋肉のこわばりが取れやすくなります。十分な睡眠とバランスの良い食事を含め、生活リズムを整えることが頭痛改善の基本となります。
Q:緊張型頭痛を根本的に治療する方法はありますか
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緊張型頭痛は「ストレス」や「姿勢の悪さ」が原因とされがちですが、実際には、首こりや肩こりが深く関係しているケースが少なくありません。近年、首から肩にできた不要な血管、いわゆる「モヤモヤ血管」は慢性的な炎症を引き起こしていることが分かってきました。この血管が炎症によって拡張することで近くの神経を刺激し後頭部や側頭部の頭痛として症状がでます。
こうした慢性的な炎症が原因である場合、痛み止めやマッサージなどの保存療法だけでは、根本的な改善が難しいこともあります。
これまで保存療法しか選択肢がなかったような緊張型頭痛に対して、近年では、原因となる異常な血管そのものに直接アプローチする「STA動注治療」が開発されています。
この治療は、こめかみ付近を走る浅側頭動脈や、後頭部の後頭動脈といった頭皮の血管に、非常に細い針を用いて薬剤を直接注入する方法です。エコー(超音波)で血管の位置や拡張の程度を正確に確認しながら、炎症がおきている部位をピンポイントで治療することができます。
一時的に症状を和らげる対処療法とは異なり、痛みの原因そのものに働きかけ、根本的な改善を目指す治療法です。
Q:緊張型頭痛がなかなか治らず、このまま一生続くのではないかと不安です。
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長引く痛みは、身体だけでなく精神的にも大きな負担をかけ、「この痛みと一生付き合っていくしかないのか」と不安になるお気持ちわかります。しかし、諦める必要はありません。緊張型頭痛が「治りにくい」と感じるのには理由があり、その原因にアプローチすることで、症状を大きく改善できる可能性があります。
■なぜ緊張型頭痛は「治りにくい」のか
これまでの緊張型頭痛の治療は、鎮痛薬などの対症療法や、ストレッチ、マッサージといったセルフケアが中心でした。これらは一時的に症状を和らげることはできても、痛みの根本原因を取り除いているわけではないため、しばらくすると痛みが再発してしまうことが多かったのです。特に慢性化してしまった頭痛は、脳が痛みに過敏になってしまっている状態(中枢感作)も加わり、さらに治りにくくなります。
しかし、最近の研究で、慢性的な緊張型頭痛の原因の一つとして、首や肩の筋肉にできた異常な血管、いわゆる「モヤモヤ血管」が関わっていることがわかってきました。この不要な血管が慢性的な炎症を引き起こし、神経を刺激して、しつこい痛みの原因となっているのです。
当院では、この痛みの根本原因であるモヤモヤ血管に直接アプローチする「STA動注」という治療を行っています。この治療は、痛みの原因となっている浅側頭動脈に直接薬剤を届けることで炎症を抑え、血管を治療する根本的な治療法です。
「何をしても治らなかった」と諦めかけていた多くの患者さんが、この治療によって長年の痛みから解放されています。あなたのその不安な気持ち、ぜひ私たちにご相談ください。痛みの原因を正確に突き止め、最適な治療法を一緒に見つけていきましょう。
<参照>
日本頭痛学会 編. 『慢性頭痛の診療ガイドライン 2021』. 医学書院, 2021.
日本頭痛学会. 頭痛の診療に関するQ&A
Olesen J, et al. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38(1):1-211.
Bendtsen L, Jensen R. Tension-type headache: the most common, but also the most neglected, headache disorder. Curr Opin Neurol. 2006 Jun;19(3):305-309.
Ashina S, Bendtsen L, Ashina M. Pathophysiology of tension-type headache. Curr Pain Headache Rep. 2005;9(6):415-422.
Schoenen J. Tension-type headache. In: Silberstein SD, Lipton RB, Dodick DW (eds). Wolff’s Headache and Other Head Pain. 8th ed. Oxford University Press, 2008.
Fernández-de-Las-Peñas C, et al. Physical therapy approaches to tension-type headache. Expert Rev Neurother. 2011;11(9):1325-1333.
Bendtsen L, Evers S, Linde M, et al. EFNS guideline on the treatment of tension-type headache – Report of an EFNS task force. Eur J Neurol. 2010;17(11):1318-1325.
Holroyd KA, et al. Management of chronic tension-type headache with tricyclic antidepressant medication, stress management therapy, and their combination. JAMA. 2001;285(17):2208-2215.
著者プロフィール
奥野祐次 M.D., Ph.D.(医師・医学博士)
オクノクリニック 総院長
専門分野:慢性疼痛、モヤモヤ血管に対する血管内治療、カテーテル治療・動注治療、画像診断(MRI・エコーを活用した精密な痛みの診断)
2006年3月、慶應義塾大学 医学部 卒業。2008年より放射線科医として血管内治療に従事し、2012年3月、同大学大学院医学研究科博士課程を修了(研究テーマ:「病的血管新生」)。同年4月より江戸川病院にて運動器疾患に対する血管内治療を専門に担当。2014年には同院「運動器カテーテルセンター」センター長に就任。2017年10月、神奈川県・センター南にて「オクノクリニック」を開院。
現在東京を中心に全国10院を運営するオクノクリニックの総院長。運動器カテーテル治療の専門医として、長年にわたり痛みに悩む患者の治療に取り組んでいる。

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